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サンドピクチャーとアメリカ実験音楽

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旅行先でクラウス・ベッシュ作のサンドピクチャーを購入。

背景画の描かれたボードとガラス板の間に、砂・水・空気を入れて密閉した作品だ。

額を逆さまにすると、少しずつ砂が落下していき、山や砂丘のような風景画ができあがる。

できあがった風景は、その時にだけ偶然に生み出される一期一会のもの。

風景が作られていく過程(砂がゆっくりと落ちていく様子)もまた神秘的だ。

そこもひっくるめてアートという感じ。

音楽ファンとしては、少々こじつけが過ぎるかもしれないが、やっぱりジョン・ケージが頭をよぎる。

サンドピクチャーには、複数種類の色違いの砂が入れられている。

これらの砂は比重が異なるため、混ざり合うことがない。

色違いの砂が層をなし、立体感・遠近感を表現する。

これは、ガラス板越しの空間が均一化してしまわないよう(つまらない絵面にならないよう)、制作者が意図的に講じたコントロールだ。

また、サンドピクチャーは、鑑賞者によるコントロールも必要になる。

作品内の水や空気の量を、注射器を使ってコントロールする必要があるのだ。

これをしないと、上手く砂が落ちてこなかったり、あるいは、砂が均一・スピーディーに落下してしまい平板な模様を作り出してしまうからだ。

「偶然に面白い結果を得る」ために、「制作者と鑑賞者が一定の意図的な操作を加える」ことが要求されているというわけ。

これってジョン・ケージの作品と美学的に似てるなと。

あと、徐々にゆっくりと作品ができあがっていく感じは、ミニマル・ミュージックのセンスも思わせる。

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