私は過剰なポリコレが嫌いだ。
押し付けがましいのは鬱陶しいし、関わり合いになるのが面倒臭いからだ。
しかし、最近、ノイジーマイノリティのポリコレ活動家が小煩いのも、ある種やむを得ない面があるのかなと思うようになった。
昨今の世の中は、あれこれ喧しいことを言われ、揚げ足を取られる風潮なので、殆どの人が知識としてのポリコレは大体押さえているようだ。
自衛のため、ポリコレ棒で叩きのめされないようにするためだ。
しかし、多くの人は、ポリコレ絡みの問題について、あくまで知識として知っているだけであって、芯から理解しているわけではなく、感覚的にも受け入れていないし、受け入れる気すらないように見える。
あまつさえ、自分が実は差別主義者だなどとは微塵も思っていない。
自分はポリコレを分かっていると思い込んでいる。
私は何も単なる妄想でこんなことを書いているわけではない。
一般の方以上にポリコレ絡みの問題や言葉尻には気を遣っているはずの弁護士ですら、「この人はポリコレなんて全く理解していないんだな」と思われるような人が散見されるからだ。
※身バレが怖いので、フェイクを混ぜて実例を挙げます。
ある非公式の会合に参加したときのことだ。
人権系の委員会や外部機関で顧問を務める弁護士と話したのだが、その弁護士はこんなことを言っていた。
「仕事のできる女性というのは、どうして怖い人しかいないのか。」
その場に女性弁護士はいなかったが、女性の事務局は何人かいた。
その人達にもこの発言は聞こえている。
この発言の背後には「女性は優しくあるべき」、「仕事のできる女性は女性らしくない」という偏見が透けて見える。
そもそも、今どき「男性は〜」とか「女性は〜」と十把一絡げに語ること自体、大体アウトだ。
簡単に反例を示されてしまうし、「あくまで傾向の話だ」などと弁解しても、大概まともなソースは提示できない。
「私が実際に見てきて感じることだ」と強弁することもできるが、偏見持ち・差別主義者というレッテル貼りを覆すことは困難だろう。
また、ある会の非公式行事で、他県への旅行が企画された際にも、こんなことがあった。
グループLINEでやりとりをしていた。
行先の候補の一つに静岡県が上がり、熱川バナナワニ園の話題が上がったときのことだ。
A「B先生はたしかバナナワニ園お好きでしたよね?」
B「バナナは好きですが、私はホモじゃありません」
私は目を疑った。
B弁護士は、家事事件に注力している弁護士だ。
LGBTQ等のセンシティブな問題にも多々関わってきたはずだ。
そんな弁護士でさえ、こんな発言をしてしまうのだ(しかも複数の弁護士が参加しているグループLINEで)。
まず、バナナを男性器の暗喩として言及していると捉えられる発言は、セクハラでアウトだ。
「ホモ」はホモセクシュアルの蔑称だから、これも差別発言だ。
しかも、同性愛者か尋ねられているわけでもない文脈で、「私はホモじゃありません」と送信するのは、同性愛者のことを恥ずかしい、面白おかしい存在として、馬鹿にしていると捉えられても仕方ない。
「軽い冗談」などでは済まされない。
他にも挙げればキリがない。
弁護士ですらこんな有様だ。
いわんや一般の方の認識・感覚たるや推して知るべしである。