弁護士法人フィクショナル・公式ブログ(架空)

架空の国の架空の弁護士によるブログ

無題【よもやま話】

某案件の交渉に臨みました。

相手の代理人弁護士は、私の師匠の師匠です。

スターウォーズでいえば、オビ=ワン VS ドゥークー伯爵です。

直前まで緊張し過ぎて吐きそうでしたし、大変に憂鬱でした。

 

法曹道というのは、フェアであると同時に非常に厳しい道と感じます。

 

「◯◯先生が言ってるのだから正しい!」とはなりません。

また、「あんなどうしようもない奴の言ってることだから間違ってる!」ともなりません。

どんなに偉い先生でも、あるいは、どんなに下品なゴロツキでも、その主張はあくまで等価に扱われます。

共通のフォーマットとなるのは、法と証拠と論理です。

人種・信条・性別・社会的地位等の属性それ自体による依怙贔屓や差別はありません(一応理念的には)。

その意味で、大変にフェアな世界と言うことができます。

 

しかし、これは一方で非常に厳しい世界とも言えます。

法律知識に不足があれば、あるいは、証拠の吟味が不十分であれば、はたまた、論理に飛躍・矛盾があれば、依頼者は多大な不利益を被るかもしれません。

全ては弁護士の責任です。

それまでの実績や成果など関係ありません。

どんなに経験を積んできた偉い先生でも、ド新人のドペーペーでも、同じ土俵・ルール・道具で戦うことを強いられるわけです。

何とも恐ろしい世界ではありませんか(どの業界も同じことかもしれませんが)。

重責と多忙に耐えかね、鬱病を患う者は数知れず、廃業に追い込まれる者、自殺する者、不摂生により早逝する者は後を絶ちません。

 

「法曹道はフェアだ」というこれまでの話と矛盾するように思えるかもしれませんが、法曹界は意外と縦社会です。

司法修習の期の上下を互いに気にする業界です。

このことについて、私はこう考えています。

期が上の諸先輩方は、法曹道という「修羅の道」に長く身を置いています。耐え忍んでいるわけです。

そのこと自体でもって、無条件に尊敬に値するのではないかと。