クラシック音楽界隈には、かつては法学系出身の人材が意外と多かった。
パッと思いつく限り、作曲家のヘンデル、シューマン、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、指揮者のベームや朝比奈隆らがいる。
ただ、このことは別に法学と音楽の親和性を意味するものではないと思う。
かつて良家の子女なりエリートたちは法学の道に進むことが多かった、というだけのことだろう。
順風満帆なエリート街道を歩むも、音楽の神(悪魔?)に唆されて、修羅の道に踏み出してしまったということかと思う。
また、医学系も多かった。作曲家のベルリオーズ、ボロディン、クライスラー、指揮者のシノーポリ、メータ、ピノック、ピアニストのミケランジェリなど。
20世紀以降に限ると、理数系がとんでもなく大勢いる。
・現代音楽作曲家
ケージ(建築家ゴールドフィンガーに弟子入り)
クセナキス(アテネ工科大で数学と建築を学び、建築家ル・コルビュジェにも弟子入り)
ブーレーズ(数学者ルートから作曲に鞍替え)
別宮貞雄(東大理学部物理科卒)
松下眞一(九大理学部卒・同院数学専攻修了、物理学者・数学者)
湯浅譲二(慶大医学部中退)
松平頼暁(生物物理学者・理学博士・立教大理学部教授)
吉松隆(慶大工学部中退)
・指揮者
アンセルメ(数学者)
カラヤン(ウィーン工科大中退)
カルロス・クライバー(チューリッヒ工科大中退)
・ピアニスト
大井浩明(京大工学部中退)
角野隼人(東大工学部卒・同院情報理工科修士課程修了)
・現代音楽評論家
野々村禎彦(東大院物理博士課程修了・理学博士)
石塚潤一(都立大院理学修士課程修了)
20世紀以降のクラシック音楽界隈の人材に何故理数系出身者が異様に多いのだろうか。
20世紀以降の創作・演奏・評論における操作性・複雑性・論理性というのが背景にあるのかもしれない。