弁護士の阿部士義信です。
一世を風靡したアイドルグループ「ドーピング雀。」の元人気メンバー「ゴバキ」こと後島刃希さん。
そのゴバキさんの夫が、ゴバキさんの不倫(不貞)相手の男性に対し、慰謝料請求訴訟を起こしたそうです。
このニュースを見て「金額がリアルだな」と思いました。
330万円という金額。
不貞の慰謝料請求訴訟でしょっちゅうお目にかかります。
先日私も書きました。330万円。
330万円の内訳は
慰謝料300万円+弁護士費用相当損害金30万円です。
慰謝料300万円というのは、一般的な不貞慰謝料の相場最上限くらいです(もっと高い金額が認められるケースもごく稀にありますが)。
まぁ滅多に認められません。
でもとりあえずそう書く弁護士が多い。
私もそう。
団堂弁護士(被告)もそう書かれてた。
この300万円というのは、色々と悪質な条件が重なって初めて認められる金額です。
婚姻期間が長かったのに不貞した、それで夫婦を離婚に追い込んだ、不貞によって妊娠した、暴力ふるった・脅した、最後まで真っ向否定して全く反省していない等々・・・
弁護士費用相当損害金30万円ですが、これ乗っけるのを忘れる弁護士もたまにいます。
裁判実務上、慰謝料などの損害額の概ね1割程度の限度で、弁護士費用相当損害金の計上が認められます。
なんでか平たくいうと
「被害者なのに、弁護士を就けて訴訟を起こすことまでやらされたこと」
「訴訟の専門家に頼らざるを得ない状況になったこと」
への補償ですね。
逆に言うと
弁護士就けずに訴訟を起こす場合だと、この費目の計上は認められません。
ここで
「訴訟に勝ったら、弁護士費用は全額敗訴した相手が負担するんじゃないの?」
という疑問の声があるかもしれません。
これは交通費や切手、印紙代だけですね。
弁護士報酬は含まれません。
要するに、勝訴者が支出した交通費、切手代、印紙代は全額敗訴者負担にすることができますが、
勝訴者が支出した弁護士報酬は、あくまで勝訴者負担になります。
そういうわけで、損害額の1割相当については、弁護士費用相当損害金の賠償として別途請求しないと、勝訴者は損してしまうわけです。
(まぁ通常は現実に負担する弁護士報酬は、損害額の1割なんかよりずっと高額になってしまいますけどね・・・。)
ちなみに、330万円満額が認められた経験は、私はこれまで1回しかありません。
その件は、相手に代理人弁護士が就いていなくて、ちゃんと損害の範囲を争っていなかったため、こちらの請求が満額認められました。
いやはや他人事ながら怖いですね。
ところで本件、ゴバキさんの夫は離婚を考えていないようです。
そうすると、不貞によって婚姻関係が破綻したわけではなく、精神的な損害は甚大とまではいえないとして、減額されるでしょう。
判決まで行くなら100万円いかないんじゃないかな。
このまま離婚しないのなら。
和解での解決となると100万超えもあり得ますね。
和解交渉はチキンゲームの様相を呈するので。
今日はこんなところで。
不貞の慰謝料相談はいつでもウェルカムですよ!
さぁ~今日も筋トレ♪筋トレ♪
既に「むっちゃ!マッチョ!してても」ね♪
※この連載はフィクションです。実在の人物、団体及び事件等とは何ら関係がありません。