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雑記:保険代位に基づく求償金請求と弁護士費用【実務は否定的】

っっぶね~ッ!!

 

心臓止まるかと思った。

 

終結間近の訴訟記録見返しててビビったわ。

 

あんま保険会社側で訴訟対応したことなかったからな。

 

弁護士費用が請求額に含まれてなくて、

 

「ファッ!?請求漏れか!?」って、マジで心臓止まるかと思った。

 

求償訴訟の場合は、原則、弁護士費用を損害として計上しなくてOKなんだ(例外もあるけど、ほとんど想定し難い)。

 

俺、ちゃんと調べて書いてたけど、忘れてたわ。

 

実務的には固まってるっぽい。

なんか理屈が腑に落ちないけども。

 

・名古屋高判平成29・10・13判時2381号87頁

「なお,1審原告会社の1審被告に対する請求は,保険代位により取得した損害賠償請求権に基づく求償金請求であるから,これに要する弁護士費用が当然に賠償の対象となるものではないと解される。しかるに,1審原告会社は,弁護士費用が賠償の対象となる旨の具体的な主張・立証をせず,他に,これを認めるべき事情もうかがわれないから,弁護士費用は認められない。」

 

・東京地判平成18・4・5交民39巻2号508頁

「弁護士費用は、不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため訴えの提起を余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、それに要する弁護士費用が相当と認められる金額の範囲内で不法行為と相当因果関係のある損害となり得る。しかし、本件のように、保険会社が商法六六二条一項により代位取得した損害賠償請求権を行使する場合には、これに要する弁護士費用について、当然に当該不法行為と相当因果関係のある損害として相手方に請求し得るものではないというべきである。また、本件において、弁護士費用が本件事故と相当因果関係のある損害であると認めるべき事情は認められないから、結局、弁護士費用は原告の損害として認めることはできない。」

 

 

・大阪地判平成23・3・16交民44巻2号397頁

「当裁判所は、原告X3社の本件請求のように、保険代位による損害賠償請求においては、弁護士費用の支払を被告らに認めることには消極である。」
「けだし、不法行為による損害賠償請求において認められる弁護士費用請求権は、不法行為と相当因果関係にある損害として、事案の経過、難易、そして認容される損害の額その他諸般の事情を考慮し、最終的に判断されるものであって、もともと被害者の有した弁護士費用請求権まで代位で移転したという関係とは認めがたいこと、保険契約に基づく保険給付の結果、保険代位により損害賠償請求権を取得する保険会社には、弁護士費用請求権を認めるほどの被害者保護の要請も認めがたいからである。」