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演技の話【狂人の演技は簡単か】

突然だが、私は「声の演技」がかなり上手い。

マチュアだが、相当な腕前である。

もちろん、プロの声優として活躍する第一線級の方々とは比ぶべくもない。

しかし、それでもだいぶ達者である。

史上稀にみる天才弁護士である私の頭脳、感性、耳の良さを以てすれば、相応の水準の演技をこなすことなど造作もないことだ(声の演技に限るが)。

今日はそんな「多才なる日本の最終兵器」ことこの私が、「狂人の演技」について思うところを語っていく。

「狂人の演技は簡単か」という問題だ。

この問題について、プロの俳優・声優や舞台関係者等の意見は真っ二つに分かれる。

かたや
「狂人の演技は超簡単。ふつうの人、ふつうの動作の演技こそ難しい。」
という意見があり

かたや
「狂人の演技はマジで難しい。全く経験したことがない状態を演じるんですよ。あなた狂ったことありますか?」
という意見もある。

どちらの意見が正しいのだろうか?

結論、どちらも正しい。

すなわち
「一定水準の狂人演技は、どんなクソ大根でもできてしまう」

しかし
「一定水準を上回る超ハイクオリティの狂人演技は、相当な上級者でなければ無理」
である。

狂人のタイプにもよるが、特に「ヒャッハー!」系のテンションが高いタイプに、如実に当てはまる。

ためしに、ボイスレコーダーを起動し、以下の①と②の文章を、声に出してそれっぽく演じたうえで、録音したものを聴いてみていただきたい。

※まず、①は、性別・年齢・職業等のあらゆる属性がかなりあなた自身と似通った人物で、心身共に健康という設定で演じてみていただきたい。

①「あれ?昨日預かった資料ってどこに置いたかな・・・。たしか引き出しに入れといたはずだったんだけど・・・あれ、おかしいな。なんで見つからないんだ。」

※②は、①の設定の「心身ともに健康」を、「良心の呵責など全くなく、常軌を逸した破壊欲求に突き動かされるハイテンションな異常者」と読み替えて演じてみていただきたい。

②「イヒヒヒヒヒヒッ!!どうやってなぶり殺してやろうかなぁ~?イヒヒヒヒヒヒッ・・・さぁ~私に絶望の表情を見せるんだぁぁぁ!!」

・・・どうでしたか?

①なんか、もう目も当てられない大惨事でしょう。
鬼クソ棒読みのゴミ大根。
恥ずかしくてとても聴けたもんじゃないと思います。

②はどうでしょう。
意外とそれっぽい感じにとれてません?
ハイテンション系とかのエネルギーをストレートに発散する演技ってマジで簡単なんですよ。

顔だけ綺麗な大根役者にも、ホラー映画のビビリ役とか、粗製乱造型TVドラマのサイコパス役とかが回ってくるのにはちゃんと理由があるのだ。

ただ、あくまで「それっぽい」どまりなんですね。

ド下手くその大根から、そこそこ上手い人まで、皆大体100点満点中65点~75点くらいに集中しちゃうの。

「それっぽい」(言い換えれば「ステレオタイプ」とか「陳腐」な状態)を超えて、より説得力と実在感・立体感を持った「狂人」を演じるには、よほどの才能と身を削る努力が必要になる。

(続く・・・かも)