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レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ【RVW】交響曲第9番

最近絶賛どハマり中の曲だ。

この曲には何らのドラマも解決もない。

悲劇もなく、喜劇もない。

コッテリ後期ロマン派のようなバタ臭い濃厚な旋律や和声もない。

かといって、擬古典よろしくスッキリ単純明快なわけでもないし、印象主義的でもない。

芋臭い民族主義でもなければ、無国籍・無味無臭の根無草や、前衛過激サウンドでもない。

キャッチーさもポップさもなく、描写的な音楽でもない。

かといって、衒学的・哲学的なわけでは全くない。

決して抽象度の高い音楽ではないが、分かり易いわけでもない。

霧深い冷たく湿った空気、神秘、謎。

今際の際にあって、幸福を噛み締めるのでもなく、人生を讃美してみせるでもない。

それでいて、厭世や諦観でもない。

大仰に人生を総括・意味付けすることなく、ただ終焉の縁に何かがひっそりと佇んでいる。

人生とは案外こんなものではないかと、大袈裟かもしれないが、そう思わせるような不思議な作品だ。