弁護士法人フィクショナル・公式ブログ(架空)

架空の国の架空の弁護士によるブログ

当法人からの提言【新時代幕開けにあたり】

弁護士の我松衰です。

 

皆様、明けましておめでとうございます(?)

 

「令和」の幕開けですね。

 

当法人としましては、より質の高いリーガルサービスを皆様に提供すべく、これまでにも増して精進して参る所存です。

 

本ブログも継続予定ですので、今後とも変わらぬお付き合いの程何卒宜しくお願い申し上げます。

 

さて、私たち弁護士に課せられた使命は「社会的正義を実現すること」です(弁護士法1条1項)。

 

この使命を果たすべく、当法人は、これまで数多くの社会問題に対し、ドラスティックな政策提言を行って参りました。

 

本日令和元年5月1日、来たるべき社会の変革に向け、私どもが新たに行う政策提言は以下のとおりです。

 

・・・・・・

 

「これいくらしたと思う?」

 

という質問。

 

これ禁止にしません?

 

・・・・・・

 

この質問をする人の考えって、以下の2パターンですよね。

 

1.「え?!そんなに高かったの?!」というリアクションを欲しがってるパターン

 

2.「え?!そんなに安かったの?!」というリアクションを欲しがってるパターン

 

ですが、そもそも大前提として

 

・大抵、聴いてるこっちは「これ」に全く興味がない場合が多い。

 

・そうでなくても「これ」の相場がわからないことも非常に多い。

 

こういう大前提があるため、なかなかどうして、悲しい事態になるケースが後を絶たない。

 

以下シミュレーションしていきます。

 

1.「え?!そんなに高かったの?!」を欲しがってるパターン

 

例えば「これ」が50万円もする有名ブランドの高級ジャケットだったとしよう。

 

この場合、質問を受けた被害者は、空気を読んで30〜40万円辺りの金額を回答する義務を負うことになる。

 

なぜか。

 

50万円を超える金額、例えば70万円とか90万円などと答えると悲劇だ。

 

「これいくらだと思う?(べろ〜んちら〜)」

などとハードルを上げちゃったせいで、

自慢するチャンスを逸した加害者が勝手に傷ついてしまい、

気まずい空気になってしまうからだ。

 

「じゃあ安い金額を答えればいいじゃん」

と、のたまう御仁もあろう。

 

甘い。甘過ぎる。

預り金で資産運用しちゃうジジイ弁護士並みに甘過ぎる。

 

安過ぎる金額を答えた場合

 

「こいつはモノを見る目がない田舎者かwwさすがチバラキ人ぷぷっww」

などと思われればまだ良い方だ。

十分ムカつくけど。

 

もっと酷いと

「これがそんなに安物に見えるのか?!プンスカギャースカ!!」

「その程度の金額で高い買い物自慢すると思ったのか!屈辱だ!プンスカギャースカ!!」

などと一方的に不機嫌になられるリスクもあるのだ。

 

繰り返すが

 

・大抵、聴いてるこっちは「これ」に全く興味がない場合が多い。

 

・そうでなくても「これ」の相場がわからないことも非常に多い。

 

かような状況下で、適切な金額の回答義務を一方的に課されてしまう。

 

外してしまう確率もそれなりに高い。

 

あまりに理不尽だと思いませんか?

 

2.「え?!そんなに安かったの?!」を欲しがってるパターン

 

例えば、加害者はアウトレットやらセールやらで、かなり上等なブランド物のジャケットを4万円で入手したとしよう。

 

「え?!そんなに安く手に入れたの?!すごい!」

 

と言って欲しいわけだ。

 

この場合、3万円とか2万円などの安過ぎる金額を答えてしまうと

買い物上手自慢のチャンスを逸した加害者は二の句が継げず、変な空気が漂うことになる。 

 

ただ、このパターンの場合、高過ぎる金額を答えてもダメージは大したことない。

 

「ぷっwwwこいつ世間知らずだなwww」

などと勝ち誇られるだけで終わるからだ。

愚かな加害者の欲求は十分満たされ、被害者がちょっぴり恥をかくだけだ。

 

だがしかし

 

だがしかしである。

 

「これいくらしたと思う?」問題の最大の核心は

 

加害者がどっちのパターンを想定しているか(高い方のパターンか安い方のパターンか)、被害者には全くわからない場合があるということだ。

 

すなわち、被害者の方では、どっちパターンの質問を振られたのか、判断しかねる場合があるのだ。

 

高過ぎる回答をすると、1の高いの欲しがるパターンの場合だと特にTHE ENDだし、

安過ぎる回答をすれば、やはりどっちのパターンでもTHE ENDである。

 

あな恐ろしや!

 

度々繰り返しになってしまい本当に恐縮なのだが

 

・大抵、聴いてるこっちは「これ」に全く興味がない場合が多い。

 

・そうでなくても「これ」の相場がわからないことも非常に多い。

 

さらに加えて

 

・加害者がどっちのパターンを欲しがっているかわからない。

 

とくる

 

それなのに

 

興味もない「これ」について、適切な金額を忖度して答えてあげ、加害者が凹んだりキレたりしたらその場を取り繕い、あるいは、加害者が馬鹿にしてきたら照れ笑いとかして誤魔化し、加害者が「しめた!」と喜んだら「へ〜すごい!そんなに高かった(安かった)んだ!」とご希望通りのリアクションをしてあげなければならない。

 

何これ?

 

加害者はどんだけ極悪なの?

 

被害者側に何のメリットもないじゃないこれ。

 

というわけで

 

「これいくらしたと思う?」発言は、法律を作ってでも全面禁止とすべきである。

 

なお、当法人では、所長権限により、本発言を行うことが懲戒事由に当たる旨を就業規則に明記することとした。

 

住み良い社会の実現に向け、本ブログをご覧の皆様も、御一考の程何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

※この連載はフィクションです。実在の人物、団体及び事件等とは何ら関係がありません。