弁護士法人フィクショナル・公式ブログ(架空)

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「暗記」の必要性に異議あり!

学生時代、記憶力には自信があった。

司法試験の勉強、本で得た知識、楽譜……若さに任せて暗記しまくっていた。

「暗記ではなく、考える力が大切」などと喧伝されていたことに対しても、個人的には強い反発があった。

「知識がなきゃ、考えることだってできないだろ!」と思っていたのだ。

また、音楽に関しては、当時の私のアイドルは、指揮者のアルトゥーロ・トスカニーニだった。

トスカニーニは、私を「クラシック音楽沼」にはまらせた張本人であり、「暗記信者」に仕立てた元凶である。

彼(が指揮するNBC響)の情熱的・狂的な演奏は、綿密な譜読みと厳しいリハーサルの賜物であった。

彼は、膨大なオペラとコンサートのレパートリーを、音符から指示記号から歌詞に至るまで、全て完璧に暗譜していたそうだ。

トスカニーニを崇拝していた若い私は、「暗譜をしない演奏家はバカか職務怠慢だ」と本気で信じ込んでいた。

当時の私の考えはこうだ。

ポップスのミュージシャンは、自分で作曲をして、自分で演奏するときに、いちいち譜面なんて見ないわけですよ。ちゃんと暗譜している。

ところが、クラシックの演奏家ときたら、他人様が作った曲を演奏して、お金を貰ってるわけですよ。そのくせ、譜面を覚えることすらせず、ひたすらかじりつきながら演奏するときている!

これはおかしいじゃないか!と。

しかし、今の私の考えは全く違う。

むしろ「アンチ暗記」である。

(続くかも)