最近、尹伊桑(ユン・イサン、Isang Yun, 1917年9月17日 - 1995年11月3日)の管弦楽曲にハマっている。
戦後前衛の洗礼を受けた過激なテイストながら、どっしりとした骨太で肉感的な音楽だ。
北朝鮮・共産党シンパだったとされる彼は、韓国の情報機関KCIAに拉致され(東ベルリン事件)、拷問の末、スパイ容疑で死刑を宣告されたこともある(その後、西ドイツに追放されて帰化した)。
なんというか、この世代の人達の逞しさ、泰然自若たる様、信念の強さというのは凄まじい。
音楽にもそんな性(さが)がよく表れているような気がする。
ドイツでは非常に評価が高いと聞くが、それほど演奏されている気配がない(YouTubeやApple Music、ベルリンフィルのデジタルコンサートアプリなどでざっと調べる限り)。
他方、かつては「国賊」扱いして彼を追放した韓国国内では比較的よく取り上げられているようだ(もちろん、今の世代の演奏家達には何の罪もないが、何とも節操のないことだ)。
初期のリアーク(1966年)や、国際的な名声を確立した時期の交響曲第1番(1983年)など、力作揃いであり、もっと広く演奏されるようになってほしいものだ。