お初にお目にかかります。
弁護士の古堂辛司と申します。
阿部士弁護士の後輩(弟弁)で、当法人のアソシエイト(勤務弁護士)を務めております。
どうぞよろしくお願い致します。
初めてブログ記事を投稿することになり、若干緊張しております。
僭越ながら、本日は、一般の方や若手同業者向けに、「実務の意外と役立つ情報」を共有したいと思います。
具体的には、建物明渡しの強制執行手続きについてです。
建物明渡しの強制執行というのは、建物内に勝手に居座っている人を、強制的に出て行かせる手続きのことです。
裁判所の屈強でゴリゴリな執行官が、現場を指揮監督し、業者が室内の物品の搬出等を行います(一連の手続きの中で、この部分の手続きを「断行」といいます)。
強制執行の申立てを行った弁護士も、断行の現場に立ち会います。
ちなみに、強制執行の申立て自体は、弁護士を使わずに行うことも一応可能です。
その場合は、申立てをしたご本人が、断行の現場に立ち会うことになります。
(ただ、一連の手続きは若干複雑ですので、通常は弁護士を使われる方が多いかと思います。)
私自身、久しぶりの経験でしたので、今回改めて色々な書籍等を参考に勉強し直しました。
準備万端!
のはずでしたが、実際には、現場で大変な問題に直面してしまいました。
名高い専門書籍には、事前に一通り目を通していたのです。
ところが、どの書籍にも、この重大問題については何ら言及されていませんでした。
これは本当に参った。
お手上げかと思いました。
情報共有のため、一般の方や若手同業者向けに、一言申し上げておきます。
強制執行の断行に立ち会う際は、よくよく肝に銘じておいてください。
・飲み物必須。ないと死ぬ。
・日陰、日除け必須。ないと死ぬ。
いやほんとに。
シャレにならないですから。
夏場の立会いはマジでしんどいです。
やること自体は大したことないんですよ。
ちょっとした手続書類に署名したりするだけです。
でもね、長いと3〜4時間とか、炎天下で過ごすことになるんですよ。
車で現場に来てる場合は、車内で待機するというのもアリかもしれません。
(とはいえ、執行官の方は外で待機されており、業者の方々が汗だくで作業されているわけですから、「一人優雅に車内で待機」というのは、何だか気まずい感じもしますね。)
夏場に外で待機する場合、お日様ピーカン照りの下、現場に立ち会わなければなりません。
「小一時間で終わるだろう」などと甘く見るのは禁物。
占有者が退去を執拗にゴネたり、自殺を試みたり、ペットが沢山いたり、物品が多かったりなんかすると、思いのほか時間がかかってしまうんです。
今回私は、日陰を見つけてそこで待機していましたが、3時間半の間に500mlペットを3本も空けてしまいました。
日陰がなかったら、自販機が近くになかったら、多分死んでたんじゃないかな私。
いやぁ本当に参りました。
ちなみに、今回の件では、占有者が「早まった真似」をしてしまうような気配がありました。何とか思いとどまらせることはできましたが。
「今後の身の処し方については、裁判所からの催告書を持って、市役所に相談に行くように」と何度も強く念押しした結果、最終的には観念して受け入れてくれたようです。
また、ペット達の引取先も、その後何とか見つけることができました。
しんどい手続だったのですが、万事無事に終わり、とりあえずホッとしております。
※この連載はフィクションです。実在の人物、団体及び事件等とは何ら関係がありません。