弁護士の団堂八蜜です。
古室氏の母の元婚約者と称する男性A氏が、貸金500万円の返還を求めているとのこと。
私が古室氏(の母)の代理人であれば、こう助言するだろう。
「債務不存在確認請求訴訟を提起しましょう」と。
理由はこうだ。
1.A氏の戦法
A氏の貸金返還請求が認められるためには、少なくとも、①金銭の交付、②返還合意があったことを、A氏の側で立証しなければならない。
本件では、②返還合意の有無が主要な争点と見込まれる。
ところが、この点について客観的な証拠(契約書、メールやLINEでのやりとり等)は存在しないものと思われる。
そのため、A氏が訴訟を起こしても敗色濃厚ということになる。
そこで、A氏のとっている戦略が
「訴訟にはせず、マスコミにチクチク情報を出して、古室氏の立場を危うくする」
というものだ。
音を上げた古室氏が手切金を支払うまで、ヒットアンドアウェイでネチネチひたすら待つという戦法である。
2.A氏の戦法への有効策
いくら待ってもA氏は訴訟など起こさない。
負けるとわかっているからだ。
それならば古室氏から起こせば良い。
「古室氏(の母)がA氏に対し何ら債務を負っていない」ことの確認を求める訴訟である。
これについては「訴訟沙汰にすること自体、古室氏の信用問題にかかわる」という批判意見もあろう。
しかし、既に古室氏の信用は地に堕ちている。
訴訟になろうがなるまいが、もはや関係ない。
しからば、訴訟でキッチリ白黒つけるべきである。
事態をズルズルと長引かせることは、イメージ戦略上、大いに問題だ。
このままでは、誠意がない、ケジメをつけるべきだ等の批判は免れまい。
訴訟を起こす大義名分としては
「裁判所に公正な判断をしていただきたいと考え提訴した、真実に合致した正しい判断を公式に受けたいのです」
などと言っておけば十分である。
公式に「貸金債務なし」との判断を勝ち取りさえすば、大っぴらに批判されるということはなくなるだろう。
さらにいえば、今回の請求額に照らすと、例えば200万〜300万円程度の弁護士費用をかけても、お釣りがきて有り余るということになる。
というわけで、古室氏におかれては、当法人への訴訟提起依頼を、是非前向きに検討されたいものである。
※この連載はフィクションです。実在の人物、団体及び事件等とは何ら関係がありません。