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結局は慣れの問題なのか

今年も「年末の第9」のシーズンがやってくる。

ベートーヴェン生誕250年の2020年はコロナ禍真っ只中だった。

同年末を書き入れ時として期待した音楽関係者たちの苦労は如何ばかりだったか。

 

第9の版についてだが、ベーレンライター版はどうも胡散臭くてかなわない。

第1楽章の例のフルート・オーボエはB♭じゃなきゃ音楽的におかしい。

Dが鳴るたび、ガクッと肩を落としてしまう。

 

4楽章コーダ直前のマエストーソについては、版の違いは問題にならない。

記譜通りに四分音符ベースのテンポをとるか、八分音符ベースに読み替えるかが問題だ。

 

20世紀中は、ワインガルトナーが八分音符ベースへの読み替えを提唱し、これが広く普及していた。

しかし、私は、トスカニーニ/NBC響で第9を覚えたので、読み替え解釈には未だに違和感を覚える。

なんというか、大仰で芝居がかった嘘くささを感じることがあるのだ。

他方、きっと多くのファンは、読み替え解釈の方にこそ耳が馴染んでいるはずだ。四分音符ベースのテンポはあざとい、せせこましいなどと感じる向きもあるだろう。

 

結局、慣れの問題なのかもしれない。

 

発想・見方を変えてみると、ブルックナーの改訂版が異端視・駆逐されているのも、実は慣れの問題でしかないのかもしれない。

音楽的説得力が高いなどとして、いつか日の目を見るときがくるかもしれない。