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「白鳥の歌」の小噺

白鳥の歌という言葉がある。

音楽の世界では、 人が亡くなる直前に人生で最高の作品を残すこと、またその作品を表す言葉として「白鳥の歌」と言うことがある。

由来は古いヨーロッパの伝承だ。

白鳥は死に際に美しい声で鳴くという言い伝えみたいなものらしい。

イソップ寓話の「白鳥と主人」や「ガチョウとまちがえられた白鳥」にも、そうした伝承を前提とした記載がある。

 

シューベルトの「白鳥の歌」は、非常にややこしい。

最大で五つの意味に解釈できるのだ。

①「白鳥の歌」D957/旧D965A

②「鳩の便り」D965a

③「イーデンの白鳥の歌」D317

④「白鳥の歌」D318

⑤「白鳥の歌」D744

の五つだ。

 

①「白鳥の歌」D957/旧D965A

シューベルトの「白鳥の歌」と言えば、殆どの場面でこの①を意味する。

シューベルトの死後、その遺作を第三者らがまとめて「白鳥の歌」と題した歌曲集だ。

シューベルトによる命名ではないし、歌曲集としての連続性はない。

こうしたことを考慮してか、新シューベルト全集では「白鳥の歌」という歌曲集は存在しない扱いとなっている。

その代わりに、「レルシュタープとハイネの詩による13の歌曲」 D957と「鳩の便り」D965aに分けて整理し直している。

 

②「鳩の便り」D965a

①の「白鳥の歌」に含まれる作品だ。

シューベルトの絶筆とされている。

作曲家の「最期の最後」の作品という意味で、「白鳥の歌」といえる。

※追記

「岩の上の羊飼い」という曲も、シューベルトの絶筆候補作とされる。

 

③「イーデンの白鳥の歌」D317

④「白鳥の歌」D318

⑤「白鳥の歌」D744

いずれもシューベルト自身が「白鳥の歌」と題した作品だ。

 

あなややこしや!